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近年、温暖化の影響で、日本に上陸する台風の数が増えただけでなく、勢力も年々増していることから、毎年のように日本各地で台風による甚大な被害が発生しています。
自然災害である台風をなくすことはできません。
でも、台風被害を補償する火災保険への加入や、自宅の設備を強化するなど、備えを万全にすることで、台風による被害を最小限におさえることは可能です。
そこで、今すぐにできる台風対策を順番にご紹介していきます。
この記事の目次
「ここ数年、台風の上陸が増えているな」と感じている方も多いかと思います。
気象庁のホームページによると、2001年から2010年までの平均台風上陸数は2.8回でしたが、2011年から2019年までは平均3.8回と、明らかに増えています。
さらに、その被害規模も大きくなっています。
日本損害保険協会の調べによると、過去の風災・水災による支払保険金額の上位10位以内には、2015年以降に発生した台風による水災への補償額が4件も入っています。
もし、所有している建物が台風による損害を受けたとき、修理費はどうなるのでしょうか。
ここからは、台風被害によって所有建物が被害を受けた場合の補償についてご説明していきます。
以前、NHKが被災者を対象に行ったアンケートによると、台風被害を受けた方は、「住宅再建・修理」に関して一番不安を感じていると答えています。
台風で壊れてしまった住宅の修理や、修理費用はどうなるのか、これから住む場所はどうするのかなど、これらは不安に思って当然の内容です。
台風被害にあったとき、一番不安になるのが住まいと修理費などの金銭面です。
「台風の被害を受けたとしても、我が家は火災保険に入っているから大丈夫」という方もいらっしゃるかと思います。
でも実は、火災保険のうち、風災や水災に対する補償はオプションであり、火災保険に加入していれば必ず台風による損害が補償されるとは限りません。
実際に、2017年3月の内閣府防災担当による報告では、持ち家世帯の火災保険加入率は82%で、そのうち水災補償ありにしているのが66%と、持ち家世帯の約4割の人が水災の補償を付帯していません。
(参考)内閣府防災担当 保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会
補償内容は、保険会社・共済によって若干異なりますが、火災保険はベースとなる火災、落雷、破裂・爆発の補償に、風災・雹(ひょう)災・雪災、水濡れ、外部からの物体の衝突、水災、盗難などの補償をオプション的に追加して加入することがほとんどです。
基本補償 | 火災、落雷、破裂・爆発 |
オプション補償 | 風災・雹(ひょう)災・雪災 水災 水濡れ、外部からの物体の衝突 盗難 |
一般的にマンションの高層階に住んでいる方は、自宅が水没する可能性は低いため、火災保険に水災の補償をつけていないケースが多いですし、保険料を抑えるために、あえて最低限の補償にしている場合も多いでしょう。
では、火災保険の水災補償とは、具体的にどんなときに補償されるのでしょうか。
水災補償は、台風や暴風雨などによって起こった洪水・高潮・土砂崩れで保険の対象となる建物や家財が被害を受けたときに、保険金が支払われます。
洪水:例)台風や暴風雨、ゲリラ豪雨により自宅が床上浸水した
高潮:例)海水面が上昇し、防波堤を超えて自宅に海水が流れ込んだ
土砂崩れ:例)集中豪雨で斜面が崩壊し、自宅が土砂で流された
ただし、水災補償で保険金が支払われるためには以下の2点、どちらかの条件を満たしている必要があります。
再調達価額とは、建物や家財など、損害にあった建物や家財と同等の質のものを調達し直す際にかかる金額のことです。
保険会社や共済によって「新価」「保険価額」「再取得価額」など、呼ばれ方が異なります。
火災保険の水災で補償される保険の対象は、一戸建て・マンションなどの建物だけではありません。
火災保険の水災で補償される対象
建物の外にある補償の対象
ここで注意したいのが、屋外にある家財や設備を補償の対象に含めるには、加入時に保険会社へ申告しておく必要があるということです。
保険加入後に車庫を設置したなど、後づけで火災保険の対象に入れたいものがある場合は、必ず即座に保険会社へ連絡しましょう。
台風の被害は、水によるものだけではありません。風で屋根材が飛ばされた、カーポートもしくは、窓ガラスが破損したといった被害は「風災」となります。
一般的に、上記のような強風や竜巻、突風などによる「風災」に対する補償は、火災保険の基本補償に含まれていることがほとんどですが、中には、オプションとなっている場合もあります。
ですので、台風による損害に備えるためには、「水災」と「風災」の両方の補償が必要です。火災保険に加入する際(すでに加入済みの方も)、その点をしっかり確認しておくといいでしょう。
台風被害に限らず、自然災害により、個人が所有する家財などの私有財産が何らかの被害を受けた場合、国は、それらの損害を税金で補償することはしない、あくまで「自助努力」をお願いするという立場をとっています。
もちろん、これはあくまで基本的なスタンスであり、被災者に対する公的な支援がまったくないというわけではありません。
予期せぬ自然災害によって、通常の生活が困難な人に対しての最低限の生活を立て直すための支援を用意しています。
被災者に対する国からの支援は、「被災者生活再建支援制度」と「災害救助法」の2つがあります。
被災者生活再建支援制度
被災者生活再建支援制度とは、自然災害が原因で生活基盤に著しい被害を受けた人が、最大で支援金300万円の給付を受けられる制度です。
被災者生活再建支援制度の対象世帯
支援金は基礎支援金と加算支援金の2本立てで支給されます。
基礎支援金・・・住宅の被害程度により50万円もしくは100万円
加算支援金・・・住宅の再建方法により50万円~200万円 【損害の程度】 全壊 解体 長期避難 【基礎支援金】 100万円 【加算支援金】 建設・購入200万円(合計300万)
補修100万円(合計200万円)
賃借(公営住宅を除く)50万円(合計150万円) 【損害の程度】 大規模半壊 【基礎支援金】 50万円 【加算支援金】 建設・購入200万円(合計250万)
補修100万円(合計150万円)
賃借(公営住宅を除く)50万円(合計100万円)
災害救助法
災害救助法とは、応急期と呼ばれる災害発生直後の期間に応急救護に対応するための法律です。
この法律にもとづいて、被災者は以下のような支援を経済的な負担なく受けられます。
災害救助法は、「現物給付の原則」をとっており、災害時は金銭ではなく、現物をもって救助を行うこととしています。
国による支援にくわえて、それぞれの地方自治体でも、災害時は独自の支援を提供しています。
比較的に多いのが、県営(都営・市営)住宅や地方自治体が借り上げた住宅を無償、または安価で借りられるというものです。
ほかにもさまざまな支援があるので、お住まいの自治体の情報をチェックしておきましょう。
(参考)宮城県のホームページより「台風第19号により被害を受けた場合の県税の減免等について」
台風が過ぎ去り、ホッとしたのも束の間。
悪質な業者が台風被害を受けた地域を狙っている、なんてことも少なくありません。気をつけておきたい、こんな業者には要注意です!
「早く直さないと雨漏りがしたり、建物にゆがみが出るなど、被害が拡大する」と、終始、家主を不安にさせる説明をして、見積もりもなく工事をしてしまい、後で高額な工事費を請求する。
「このままだと所有物件の被害が拡大する」や「修理には莫大な費用がかかる」と所有者を不安にさせたうえで、「でも、火災保険に加入していれば修理費は全額補償されるから大丈夫」と言い、「火災保険で出るから」と勝手に着工してしまう。
「火災保険の手続きは複雑だから、こっちでやっておきますよ」などと言い、火災保険の保険金申請を代行。
数万円~数十万円の高額な代行手数料を請求してくる。
<対策アドバイス>
悪質な業者の詐欺被害に遭わないためには、以下の2点がポイントです。
まず、自分がどんな補償内容の火災保険に加入しているか、オプションを含めきちんと把握しておきましょう。
そして、火災保険の保険金請求は、電話一本で受付が完了する、とても簡単な手続きです。手数料を払って代行を依頼する必要などは、全くありません!
万が一、証券が手元になくなったときのために、保険会社名・証券番号・連絡先の3点をスマホに登録する、または、お財布の中にメモを入れておくなどしておくとより安心です。
好き好んで悪徳業者に騙される人などはいないでしょう。しかし、一口に信頼できる業者と言っても、何を基準に選ぶべきなのかが難しいですよね。
そこで、信頼できる業者を見分ける際のポイントをいくつかご紹介します。
もちろん多くの業者は、常に細心の注意を払って施工しています。しかし、それでも不具合や欠陥などが生じるリスクを完全に回避することはできません。
このような欠陥、つまり必要な性能に不具合が生じていたり、設備自体が故障していたりすることを「瑕疵(かし)」と呼びます。
そういった際の補修費用を保険で補償し、所有者に負担が生じないようにするための保険が「リフォーム瑕疵保険」です。
「リフォーム瑕疵保険」は、施工側とお客様の双方を守るための保険ですので、加入している業者を選ぶことで、万一の時の備えとすることができます。
建物の建設工事を行うには、建設業法第3条に基づき、建設業の許可が必要です。
建設業の許可を得るためには、一定の基準をクリアしなければなりません。
軽微な建設工事(請負代金が税込500万円未満)のみであれば、許可を受けなくても、工事を請け負うことができます。
しかし、必要な条件を満たした建設業の許可を得ている業者のほうが信頼できると言えるでしょう。
リフォームの施工には、国土交通省がガイドラインを制定しています。
リフォーム業者を選ぶときは、このガイドラインに沿った診断をしているかどうかを確認しましょう。
悪質な業者は、このガイドラインを無視して、勝手な解釈で必要のないところまで工事を勧めてきたりするので、注意が必要です。
いざ、リフォームを頼むとしても、どんな人が施工してくれるのか不安ですよね。
業者によっては、職人さんの顔をホームページに載せているので、それを参考にしてもいいでしょう。
多くの人から見られる場所に、自分の顔を出すのは責任が伴います。
一つひとつの仕事を誠実に行っているからこそ、できることです。
家が壊れていると、生活に支障があるケースも多く、少しでも早く直したいと思うものです。
さらに、災害時は工事が順番待ちになることが予想されるため、一日でも早くと、より焦ってしまいます。
そんな不安につけこみ、きちんと施工内容を伝えないまま、勝手にいろいろな場所に手を加えようとする業者がいます。
災害時だからこそ、事前に施工内容をていねいに説明し、依頼主が十分に納得した上で工事を進める業者は信頼できると言っていいでしょう。
台風が来る!というその時は、事前に以下のようなことを準備しておくと、焦らず行動できたり、被害を小さくすることができます。
災害時は、ネット上に、さまざまな情報があふれかえります。
間違った情報によって行動を左右されないよう、必ず信頼できる公式情報を確認するようにしましょう。
宮城県の公式Twitterを確認しましょう。
県内の防災情報等を発信する県公式アカウントです。
東日本大震災や令和元年東日本台風など、
近年激甚化・頻発化する災害において
気象台から発表される気象情報や市町村から発令される避難に関する情報は自らの命を守る上でとても重要な情報となります。
宮城県危機対策課では、このような情報をSNSを活用し、
広く県民の皆様へ情報発信できるよう,Twitterアカウントを開設しました。
平時には,防災に関する普及啓発や訓練に関する情報などの情報を発信していく予定です。
(https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kikisom/kikitaisakukakoshikitwitterkaisetu.html より引用)
また、普段から、ご家族みなさんで避難場所の確認をしておきましょう。
複数の避難場所をチェックしておくとより安心です。
台風で建物が破損するのは防げませんが、できることなら被害は最小限に抑えたいですよね。
台風から建物を守るために、普段からできる備えがあります。
暴風による飛来物で、被害を受けやすいのが窓ガラスです。
シャッターがあれば、窓ガラスを丸ごと守ることができます。
さらに、電動シャッターなら窓を開けることなく、ボタンひとつでシャッターを閉めることもできて、安全です。
家の周りに植木鉢や遊具などを置いていると、それらが風で飛んで自宅や近隣建物の破損原因になりやすいので、天気予報などを参考に、事前に片付けておきましょう。
台風は風災だけでなく、水害も引き起こします。
豪雨のときに水はけをよくするために、普段から家の周囲の排水口を掃除して、枯れ葉やゴミなどを取り除いておくと詰まりが防げます。
台風対策は建物の外だけには限りません。
家の中の台風対策は、以下のようなことをしておくと、安心感が増すでしょう。
飛散防止フィルムを貼ることで、割れた窓ガラスが室内に飛びにくくなり、破片によるケガが防げます。
もし、対策をする前に台風被害にあいそうなときは、カーテンやブラインドを下ろしたり、窓ガラスにガムテープなどを十字に貼ったりすると被害が減らせます。
どちらにしても、台風が付近を通過している間はできるだけ窓ガラスから離れて過ごすようにしましょう。
また、停電に備えて懐中電灯やラジオ、ポータブルストーブなど、防災用品は普段から準備およびシーズン前に一度確認をするようにしましょう。
台風が上陸すると、暴風や集中豪雨が発生します。
豪雨による水害や、平均風速が20m/sを超えると物が飛来し始め、飛来物によって窓ガラスが割れたり、瓦が飛んだりといった暴風被害も起こります。
台風を回避することは難しいですが、普段から台風に強い家にしておくことで、被害の規模を小さくすることも可能です。
最後に「台風に強い家」にするためにはどうすればいいか、具体例を紹介します。
台風による暴風で被害を受けやすいのが、飛来物による窓ガラス破損です。
窓ガラスの破損を防ぐために有効なのは、シャッターや雨戸で窓ガラス自体を守る方法と窓ガラスを「割れにくいガラス」に変更すること。
割れにくいガラスとは、「強化ガラス」と表記されることが多い、一般のガラスの3~5倍の強度を持つガラスです。
台風による飛来物が衝突しても割れにくく、もし割れてしまっても、破片が飛散しにくいのも特長のひとつなので、破片によるケガも防止します。
窓にシャッターや雨戸が付けられない場合や、災害や防犯に多く採用されている窓ガラスです。
飛来物によって損害を受けるのは窓ガラスだけではありません。
屋根も飛来物の落下で被害を受けやすく、もし屋根に被害を受けた場合、雨漏りなどが発生しやすくなるので、室内の被害も拡大してしまいます。
ガルバリウム鋼板などの耐久性が高く、かつ軽量な屋根材は、飛来物が衝突しても破損しにくく、さらに屋根部分の重量軽減により地震の揺れも軽減させることが可能です。台風だけでなく、「災害に強い家」を実現できるのです。
一戸建てで自家用車を持っているご家庭でよく見られるカーポート。
車庫よりも場所を取らず、費用も少なく済むので人気です。
しかし、特に片流れタイプのカーポートは台風に弱いという弱点があります。
暴風でカーポートの屋根が破損したり、破損した屋根が飛んで他人の物を傷つけてしまったりなど、カーポートに関する被害は、実はとても多いです。
カーポートに関わる被害を少しでも減らすためには、「サポート柱」を付けることをおすすめします。
サポート柱とは、カーポートの主柱の反対側から屋根を支える柱のことで、カーポートを購入する際に付けられるオプションです。
サポート柱には、使用しない時はカーポートから外して別に保管できる着脱式と、カーポート本体に収納しておける収納式があります。
大規模災害、とりわけ台風や豪雨は、地球温暖化の影響により、今後も発生数が増えるだけでなく、その勢力も増すと言われています。
災害の発生は止められませんが、建物の台風対策や、火災保険の補償の見直しなど、できる対策はしっかりしておくことで、災害に対する不安な気持ちを軽くすることはできます。
まず、自分の家にはどんな対策が必要なのか、ひとつずつ確認することから始めてみませんか。
「建物の台風対策を相談したい」という方や、「何が必要なのかよくわからない」という方も、ぜひ一度ご相談ください。
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